正直に告白します。今、私の家には眼鏡が何本もあります。
普段から使いまわしている「一軍」と呼ばれる眼鏡が専用の収納ケースに18本、そして、たまにしか掛けない比較的昔に買った眼鏡は全部、眼鏡ケースにしまった状態で同じ場所に10本程度(こちらは「2軍です」)、また、
収納ケース購入後に購入した仲間たちが11本。「二軍」以前に購入したものも含めると、もっとありますが、使っている眼鏡たちだけでざっと40本程度・・・
「そんなに必要?」と聞かれたら、うまく答えられません。でも、ここに至るまでには、ちゃんと理由があるんです。今日は、私がどうやって「眼鏡沼」にハマっていったのか、恥ずかしい失敗も含めて全部お話ししようと思います。
もしあなたが「眼鏡は視力矯正の道具」としか思っていないなら、この記事を読み終える頃には、少し違う景色が見えているかもしれません。
眼鏡は「道具」だった時代
最初の眼鏡を選んだとき、私は正直、深く考えていませんでした。フレームの形も素材も分からないまま、「とりあえず似合いそうなもの」を店員さんにすすめられるがまま選んだ記憶があります。
そもそも、高校時代にさかのぼると、私は少し度が強く、また、眼鏡に使える予算も限られていたこともあり、作ってもレンズが分厚くフレームからはみ出してしまい、見た目も不格好になってしまう経験がありました。かけた瞬間「・・・あれ?これは・・・」と思ってしまった事もありましたが、気に入らなかったからと言って買い替えられるほどお手頃なものでもなかった。そんな経験から、学生時代は授業の時だけ眼鏡を掛ける。眼鏡とはそんな付き合い方でした。さらには、その頃コンタクトレンズに興味を持ち始め、使い始めています。その時、「自分はこの先、コンタクトレンズをずっと使い続けるんだろうな」と思ってたりもしました。
ただ、コンタクトレンズにはコンタクトレンズなりのデメリットがあるというのも正直なところでした。(もちろんメリットもたくさんあります)、私が使用していたころは乱視矯正が出来るソフトコンタクトレンズが無く、ハードコンタクトを装用していたこともあり、やはり目にとっての異物感は少なからずありました。長時間の装用も目の充血の原因になったり、直接眼球に装用するものなので、健康チェックも可能な限り眼科さんにしてもらう事もあって、それなりのコストを掛けていたと思います。
(朝の出掛ける準備もコンタクトの装用に少なからず時間がかかり、間に合わせるために早めに起床したり、そういう事も含めると結構な負担ですよね)
そういったデメリットの解消をしたいと考えていた時期に、ちょうど眼鏡をファッションとして扱うコンテンツがテレビや雑誌で紹介されるようになり始めてた頃だったと思います。この時「眼鏡に切り替えよう!」と思ったきっかけです。
ただ、眼鏡に切り替えると言っても知識が全くありません。最初は、当時の自分の予算に合わせて、価格を抑えた眼鏡店で探していました。そこでは眼鏡のフィッティングというサービス自体を行っておらず、鼻あたりの痛みや、ずり落ちてくる感覚に悩まされました。当時は「眼鏡なんてどれも同じだろう」と思っていたので、フィッティングという概念すら知らなかったんです。
後から知ったのですが、当時そのお店で扱っていたフレームは「インジェクション(射出成形)」という、樹脂を型に流し込んで大量生産する製法で作られていることが多く、フレームの中に調整用のワイヤー(芯金)が通っていないケースが少なくないそうです。ワイヤーが入っていないと、そもそも物理的にフィッティング調整ができません。これは価格帯や製法、お店によるものなので、すべての眼鏡専門店に当てはまるわけではありませんが、当時の私はそんな仕組みすら知らずに悩んでいました。
(※現在よく見かけるJINS・Zoff・OWNDAYSなどの大手チェーンでは、自店で購入した眼鏡のフィッティング調整を基本サービスとして提供しています。当時の私が利用していたのは、それとは異なるお店でした)
今振り返れば、あれは眼鏡を「視力矯正のための道具」としてしか見ていなかったからこその失敗でした。サイズの合わせ方一つで、こんなに快適さが変わるとは思ってもみなかったのです。
眼鏡のサイズやフィット感の基礎から知りたい方は、眼鏡の選び方【初心者向け完全入門】失敗しない最初の一本の決め方もあわせてご覧ください。
「おしゃれの沼」に気づいた瞬間
転機は、YouTubeチャンネルとの出会いだったと思います。それまでは、眼鏡についての知識もほとんどなく、自分自身の感性だけに頼って眼鏡選びをしていました。なので、当然と言えば当然ですが、自分の雰囲気に合う眼鏡も、レンズが眼鏡に乗った時の見え方のひずみ(目が小さく見える)想定も、瞳孔間距離(両目の瞳孔間の距離)なんてことも知らずに、眼鏡のサイズに合わせて眼鏡選びをするなんて発想は全くありませんでした。それが、YouTubeチャンネルを見つけたら、たくさんの情報が一気に降り注ぎ、知らなかった眼鏡の情報が自分の中にどんどん吸収されて行きました。
それがきっかけで、眼鏡の選び方が変わり、購入後にレンズを装着した後での試着でがっかりする事はほぼ無くなりました。また、今まではほとんど同じシェイプで悪い意味でまとまってしまっていた眼鏡の選択肢も、得られた情報のおかげでウェリントン、ボストン、ヘキサゴン、オクタゴン、レクタングル、クラウンパントなど様々に増え、掛け替える楽しみが広がっていきました。
さらに、度付きのカラーレンズの特集を見た時、さらに愛着が加速しました。
YouTubeチャンネルでカラーレンズの企画を見た瞬間、「おっ、良い感じじゃん!」と思わず声が出ました(笑)。まずは試したいと思い、あまりかけていなかった眼鏡をサングラスにして復活させようとレンズ交換可能なお店を探し、度付きのカラーレンズに変えてみたんです。試してみると、ちょっとした買い物に出るだけなのに、ラフなコーデにカラーレンズの眼鏡を合わせると、不思議とテンションが上がったのです。
そこで初めて気づきました。眼鏡は服やバッグと同じ、「着替える」楽しみを持てるアイテムなんだと。フレームの形やカラーを変えるだけで、同じ顔なのに印象がまったく変わります。
「1本しかない」状態は、毎日同じ服を着ているようなものかもしれません。そう考えると、複数の眼鏡を使い分けたくなる気持ち、分かっていただけるのではないでしょうか。
フレームの形やカラーで印象がどう変わるかは、眼鏡フレームの形の選び方|似合わないは思い込み・メガネフレームの色の選び方で詳しく解説しています。複数持ちのメリットについては眼鏡は1本で足りてる?複数持ちのメリット5選もぜひ。
「レンズ」という沼
おしゃれの奥深さに気づいた次に待っていたのは、レンズという新しい沼でした。
フレーム選びに夢中になっていた頃の私は、レンズのことなんてほとんど気にしていませんでした。「度が入っていればどれも同じだろう」——そう思っていたんです。その考えが変わったきっかけの一つが、デモレンズの存在でした。買ったばかりの眼鏡に最初から入っている、あの薄い透明のレンズです。てっきり「伊達メガネとして使うならこのままでいい」くらいに思っていたのですが、実はあれ、フレームの形状を保つために入れられているだけのものだと知ったのは、恥ずかしながらつい最近のことでした。
そこから、レンズという世界の奥深さに気づかされていきます。単焦点・累進・カラー・調光・ブルーライトカット……知れば知るほど、眼鏡は「フレーム選び」だけでなく「レンズ選び」でも体験が大きく変わるものだと分かってきたのです。私は度数が強めなので、屈折率(レンズの薄さ)にはいつも気を遣います。屈折率が高いほど薄くはなりますが価格も上がるので、フレームの厚みとのバランスを見ながら選ぶようになりました。
薄色カラーレンズは、気づけば何色も試すヘビーユーザーになっていました。初めて挑戦したのは濃度25%のグリーン、レイバンのウェイファーラーに似合いそうだと選んだプライベート用の1本でした。その後、オフィス用に濃度15%のダークネイビーも作りました。色によって周囲の気づかれやすさが違うのも面白く、蛍光灯の下で光の刺激がわずかに和らいだと感じたこともあります。職場で「その眼鏡、色が入ってるね」と気づいたのは、眼鏡好きの同僚がたった一人だけでした。それだけ気づかれにくいということは、職場でも薄色レンズなら問題なく使えるのだと気づきました(職場の雰囲気にもよるとは思います)。
ブルーライトカットレンズも、実際に1〜2本ほど作って使ってみました。パソコン画面のまぶしさが少し落ち着いた感覚と、目の疲れがやわらいだように感じたのを覚えています。
一方で、正直に言うと、調光レンズの眼鏡はまだ実際に使ったことがありません。ただ、屋外で自動的に色が変わる仕組みを知ったときは、「そんな技術が眼鏡に詰まっているのか」と単純に感心してしまいました。フレーム選びだけで満足していた自分が、恥ずかしくなったのを覚えています。
レンズの世界をもっと知りたい方は、眼鏡レンズの種類と選び方、調光レンズで眼鏡とサングラスを1本にまとめる方法をご覧ください。
「ブランド」という沼——JMMとの出会い
そして、決定的な事件が起きます。40代になった頃、私は高級感のある眼鏡に興味を持ち始めていました。
そんなとき初めて見たのが、「Jacques Marie Mage(ジャックマリーマージュ)」というブランドでした。分厚いアセテートフレーム——10mmはあろうかという厚みに、正直、衝撃を受けました。日本とイタリアでハンドクラフトされているというその一本を、ただただ見入ってしまったのを覚えています。
「眼鏡って、ここまで突き詰められるのか」
それが率直な感想でした。フレームの形やレンズの機能とはまた違う、「作り手のこだわりそのものを身につける」という感覚。ここから私は、ブランドという沼にどっぷりハマっていくことになります。
ジャックマリーマージュの詳しい世界観はジャックマリーマージュの魅力とは?【2026年版】で。ここから私は、次々といろいろなブランドに魅了されていきました。特に印象に残っているブランドをカテゴリ別にご紹介します。
- Tommy O’Gara氏が手がける一族:Native Sons・SAUVAGE・マックス・ピティオン・Shady CHARACTER(同じルーツを持つJulius Tart Opticalも)
- 鯖江発・職人技のブランド:金子眼鏡・増永眼鏡(MASUNAGA)・YUICHI TOYAMA.・YUICHI TOYAMA:5・ayame・NORUT・yellows plus・guépard・999.9・白山眼鏡店
- 個性派ブランド:MATSUDA・EFFECTOR
- 海外の名門ブランド:Oliver Peoples・Persol・DITA
まとめ——今、伝えたいこと
最初は、掛けると目が小さくなるおしゃれとは無縁の道具だと思っていた眼鏡が、気づけばおしゃれの手段になりコーディネートの主役になる事もあります。また、レンズの奥深さを知り、ブランドという物語に出会う沼にまで辿り着きました。振り返ってみると、どの段階にも「知らなかっただけ」の発見があったように思います。
この「知らなかっただけ」というのが、今考えると本当に、きっかけ一つでガラッと印象が変わり得る最高の気づきだったと思います。カラーレンズをかけた瞬間の「おっ、良い感じじゃん!」も、JMMを初めて見たときの「ここまで突き詰められるのか」という衝撃も、元をたどればすべて「知らなかったことを知った」という、たったそれだけがきっかけでした。
まだまだ世間的には、眼鏡を「ただの視力矯正器具」とイメージしている方は少なくないと思います。それ自体は何も悪いことではありません。ただ、知らないままでいるのは、正直もったいないと感じています。私自身、40本近い眼鏡に囲まれる生活になるなんて、道具として使っていた頃の自分は想像もしていませんでした。
そういった方に、このほんの少しの「知らなかっただけ」に気づいていただけたら……という思いが、このブログを始めたきっかけになります。誰かの「知らなかった」を一つでも「知れてよかった」に変えられたら、これほど嬉しいことはありません。
もしあなたが今、「眼鏡は視力矯正のためだけのもの」と思っているなら、それは決して悪いことではありません。ただ、その先にはまだ知らない楽しみがたくさん待っているかもしれません。
- 眼鏡選びの基本から知りたい方は→眼鏡の選び方完全入門
- おしゃれとしての眼鏡に興味が出てきた方は→眼鏡は1本で足りてる?複数持ちのメリット5選
- レンズの世界を覗いてみたい方は→眼鏡レンズの種類と選び方
- ブランドの物語に触れてみたい方は→ジャックマリーマージュの魅力とは?【2026年版】
あなたの眼鏡沼が、今日から少しだけ深くなりますように。
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