「マックス・ピティオンって、名前は聞くけど結局どんなブランドなの?」——そう思ったことはありませんか。極太で個性的なフレームが並ぶ一方で、日本語でしっかり解説した情報は意外と多くありません。この記事では、マックス・ピティオンの歴史・代表モデル・価格帯を、眼鏡好きの目線でまるごと整理しました。読み終えるころには、「なぜ知る人ぞ知る存在なのか」がきっと腑に落ちるはずです。
マックス・ピティオンとはどんなブランド?——歴史と復刻の物語
マックス・ピティオン(Max Pittion)は、フランスで生まれ、いま日本で作られている個性派アイウェアブランドです。一度は姿を消したブランドが、熱狂的なファンの手で現代によみがえりました。この「消えて、また灯った」物語こそが、このブランドの一番の魅力だと私は思います。まずは、その歩みをたどってみましょう。
1921年、フランス・オヨナで始まった物語
物語の始まりは、フランスアルプスの南ジュラ地方にある小さな町「オヨナ(Oyonnax)」です。1921年、この町でマックス・ピティオンという人物が生まれました。彼は、父親が営んでいた櫛(くし)の工場を、アイウェアの工場「ピティオン・ルネッテリア」へと転換する決断をします。オヨナはもともとプラスチック加工で知られた土地。その土壌の上で、セルロイドという素材の可能性に着目したことが、すべての出発点でした。
実は、オヨナが櫛やセルロイド加工で栄えた町だったという話は、今回の調査で私も初めて知りました。そういえば鯖江も、眼鏡と並んで越前漆器という伝統工芸で知られる町です。分野は違っても、職人の技が息づく町から愛される一本が生まれていると思うと、何だか親近感がわいてきます。
SILMO創設に関わった、眼鏡業界のレジェンド
マックス・ピティオンが「レジェンド」と呼ばれる理由は、モノづくりだけではありません。彼は世界最大級の眼鏡見本市「SILMO(シルモ・パリ国際眼鏡見本市)」の創設に関わった人物の1人でもあります。1960〜70年代には従業員200名を超える規模まで成長し、フランスのアイウェア産業を支える存在になりました。単なる一ブランドではなく、業界そのものの歴史に名を刻んだ人物なのです。
なお、ここで一つ整理しておきます。ネット上では「SILMOの創設者」と紹介されることもありますが、正確には「創設に関わった人物の1人」です。誇張せず、事実に沿ってお伝えします。
ジョン・メイヤーが「ポリティシャン」に惚れ込んだ話
ブランドは日本製アイウェアの台頭などを背景に、一度その歴史に幕を下ろします。ところが2013年、思わぬ人物がこのブランドを復活させました。グラミー賞を受賞した世界的ギタリスト、ジョン・メイヤー(John Mayer)です。彼は眼鏡コレクターとしても知られ、ヴィンテージの「ポリティシャン」に一目惚れ。「自分に合うサイズで、もう一度作りたい」という思いから製造ライセンスを取得しました。デザインを託されたのが、日本を拠点に活躍するクリエイティブディレクター、タミー・オガラ氏です。
このタミー・オガラ氏は、Native Sons(ネイティブ・サンズ)をはじめ、複数の実力派アイウェアブランドを手がける人物として知られています。マックス・ピティオンの現代的な感性は、彼の存在なくして語れません。
2023年——マックスの息子と、タミー・オガラによる本格再始動
物語には、さらに続きがあります。2023年2月、マックス・ピティオン本人の息子であるバーナード・ピティオン(Bernard Pittion)が、家族に残されたアーカイブ資料を託し、ブランドの本格的な再始動を託しました。2013年の「復刻」に対して、2023年は「家族公認の本格再スタート」と位置づけると分かりやすいでしょう。この2段階の歴史を知っておくと、ブランドの立ち位置がぐっとクリアになります。
ブランドの名作たち——ファーストコレクションをふり返る
マックス・ピティオンを語るうえで外せないのが、復刻の象徴となった名作たちです。結論から言えば、このブランドの個性は「あえてクセを残す」ところにあります。万人受けを狙わず、原型の強さをそのまま現代に持ち込んだからこそ、一度見たら忘れられないシルエットが生まれました。
すべての始まり「ポリティシャン」——原型と復刻の経緯
ブランドの顔といえば、やはり「ポリティシャン(POLITICIAN)」です。ジョン・メイヤーが復刻を決意するきっかけになった、まさに原点のモデルです。オーバーサイズの角丸スクエアをベースに、下部のコーナーを鋭くカットした独特のシルエットが特徴。クラシックなのに、どこか攻めている——その絶妙なバランスが、多くの眼鏡好きを惹きつけてきました。
初めて見たとき、その存在感の強さに思わず目を奪われました。極太のプラスチックフレームがつくる主張は、他のブランドではなかなか見られないものです。正直なところ「かっこいい」という気持ちと「これは自分には難しそうだ」という気持ちが半々でした。それでも、人と被らない一本という意味では、ここまでしっくりくるモデルはなかなかありません。いつかは挑戦してみたいモデルです。
ファーストコレクションが生んだ、個性的なシルエット群
復刻の際、フレームには原型のセルロイドに代わり、綿実油(めんじつゆ)由来のアセテートが採用されました。セルロイドは美しい反面、燃えやすさなどの扱いにくさがあります。そこで、発色が美しく丈夫な現代の素材へと置き換えられたのです。素材そのものについて詳しく知りたい方は、眼鏡フレームの素材の種類と選び方もあわせてご覧ください。原型の魅力を損なわず、現代の技術で仕立て直す——これがファーストコレクションの基本姿勢でした。
現在のラインナップ——マックス・ピティオンはどんなモデルがある?
「気になるけど、どのモデルから見ればいい?」という方のために、代表的なラインナップを整理します。結論として、まずは4つのモデルを押さえておけば、ブランドの世界観はほぼつかめます。それぞれ顔つきがはっきり違うので、見比べるだけでも楽しいはずです。
POLITICIAN(ポリティシャン)——ブランドの顔であり最大の個性
先ほども触れた通り、ブランドを象徴する一本です。存在感のある太めのフロントに、角を落とした個性的なシェイプ。かけた瞬間に顔の印象がガラッと変わる、いわば「主役級」のモデルです。人と同じは嫌だ、という方にこそ響くでしょう。
MAESTRO(マエストロ)——パントシェイプのクラシックな存在感
「マエストロ(MAESTRO)」は、丸みのあるパントシェイプが上品なモデルです。ポリティシャンよりも取り入れやすく、クラシックな装いにも自然になじみます。「MAESTRO Gara」というバリエーションも存在します。個性は欲しいけれど、日常でも使いたい——そんな欲張りな願いに応えてくれる一本です。
CASSE / V WELLINGTON——「ウェリントン」の正式モデル名はこれ
ここで、表記の整理をしておきます。ネット上で「ウェリントン」と呼ばれているモデルの正式名称は「CASSE / V WELLINGTON」です。ウェリントンシェイプ(台形に近い定番の型)をベースにした、かけやすさと個性のバランスに優れたモデルです。「ウェリントンが欲しい」と探すと情報が散らばりがちなので、正式名で覚えておくと迷いません。
HUGO(ヒューゴ)——クラウンパントのひと癖ある個性
「ヒューゴ(HUGO)」は、上辺がまっすぐで下側が丸いクラウンパントシェイプ。知的で、それでいてどこか遊び心のある表情が魅力です。定番の型に、マックス・ピティオンらしい「ひと癖」を効かせた一本といえます。
現在の売れ筋とトレンド——どのモデルが今注目されているのか
いま実際に人気なのはどれなのか、気になりませんか。結論から言うと、やはり中心はポリティシャンです。ブランドの象徴であり、話題性も抜群だからです。とはいえ、状況は少しずつ変わってきています。
セレクトショップで引き合いが強いのはポリティシャン
眼鏡のセレクトショップやこだわりの強い専門店では、ポリティシャンが安定して支持されています。「マックス・ピティオンといえばこれ」という認知が定着しているためです。強い個性を求める層にとって、これ以上ないアイコンといえるでしょう。
「知る人ぞ知る」から「眼鏡好きの定番」へ
かつては本当に一部の愛好家だけが知るブランドでした。しかし、タミー・オガラ氏が手がける他ブランドの人気とともに、少しずつ裾野が広がっています。「まだ人と被りたくないけれど、確かな背景のあるブランドを選びたい」——そんなニーズにぴたりとはまる存在になりつつあります。
ブランド特有の強み——マックス・ピティオンはなぜ選ばれるのか
数あるブランドの中で、なぜマックス・ピティオンが選ばれるのでしょうか。答えはシンプルで、「フランスの記憶」と「日本の技術」という、二つの強みが同居しているからです。この掛け算が、他にはない説得力を生んでいます。
フランスの記憶と、日本の職人技術が出会ったフレーム
復刻後のマックス・ピティオンは、日本国内で製造されています(日本製)。フランス由来のデザインを、日本の職人が丁寧に形にしているのです。丁番には真鍮が使われ、使い込むほどに味わいが増す設計になっています。日本の眼鏡づくりの背景に興味がある方は、日本の眼鏡産地の記事もおすすめです。
なお、具体的な製造都市については公式に明言された情報が確認できなかったため、この記事では「日本製」とだけお伝えします。曖昧な情報を断定しないのが、私のこだわりです。
「あえてクセを強くする」——デザイン哲学が貫くもの
マックス・ピティオンの根っこには、「あえてクセを残す」という哲学があります。角を落としたり、太さを強調したり——万人受けを狙えば削れてしまう部分を、あえて残しているのです。だからこそ、かける人を選びます。でも、その一本が似合ったときの満足感は格別です。人と違うことを楽しめる人にとって、これほど頼もしい相棒はありません。
価格帯・レンズ・アフターサービス
「実際いくらするの?」という疑問にお答えします。結論から言えば、マックス・ピティオンはハイエンドの価格帯に位置します。決して気軽ではありませんが、背景と作りを知れば納得できる水準です。
マックス・ピティオンの価格帯は?
主要モデルの参考価格は以下の通りです。いずれも税込で、7万円台が中心となります。
| モデル | シェイプ | 価格(税込・参考) |
|---|---|---|
| POLITICIAN(ポリティシャン) | オーバーサイズの角丸スクエア | ¥70,400 |
| MAESTRO(マエストロ) | パント | ¥70,400 |
| HUGO(ヒューゴ) | クラウンパント | ¥72,600 |
| CASSE / V WELLINGTON | ウェリントンシェイプ | 店舗により異なる(要確認) |
※価格は本記事作成時点(2026年7月)の参考情報です。改定される場合があるため、購入前に必ず取扱店で最新価格をご確認ください。CASSE / V WELLINGTON の価格は取扱店ごとに表記が分かれていたため、確定額の掲載は控えています。
レンズの選び方・アフターサービスについて
フレームはあくまで土台です。実際の見え方を左右するのはレンズ選びだといっても言い過ぎではありません。ハイエンドフレームを選ぶなら、レンズにもこだわりたいところです。ただし、レンズの対応範囲やアフターサービスは取扱店によって差があります。購入前に「どんなレンズが入れられるか」「調整や修理はどう対応してもらえるか」を店舗に確認しておくと安心です。
こんな人に向いているブランド——「メガネ偏差値が上がってから」は本当?
ここまで読んで、「自分に似合うのかな」と迷っている方もいるかもしれません。結論から言えば、マックス・ピティオンは万人向けではありません。でも、はまる人には唯一無二の存在になります。向き・不向きを正直に整理します。
マックス・ピティオンが刺さる人の特徴
以下のような方には、心からおすすめできます。
- 人と被らない、個性的な一本を探している人
- 眼鏡そのものを「装いの主役」にしたい人
- ブランドの背景やストーリーに価値を感じる人
- 太めで存在感のあるフレームが好きな人
率直に言うと、おしゃれの感度が高い人に似合うイメージです。たとえば、アパレル関係や美容師さんのような方がさらっとかけていたら「おしゃれだな」と感じると思います。
あまり向かないかもしれない人
一方で、次のような方には少し敷居が高いかもしれません。無理におすすめはしません。
- できるだけ主張の控えめな眼鏡を求めている人
- コストを最優先に考えたい人
- まだ個性的なフレームに挑戦する自信がない人
もし「憧れるけれど、いきなりは勇気がいる」と感じるなら、まずは日常使いの眼鏡をZoffやJINSでそろえ、少しずつ「攻めた一本」に慣れていくのも賢い方法です。焦らず、自分のペースでメガネの世界を広げていきましょう。
向いている人とは逆に、眼鏡にあまり主張を求めない人には向かないかもしれません。シンプルなリムレスをさらりと掛けこなすタイプの方です。それはそれで、十分にかっこいいと思います。
※当記事のリンクには広告(PR)が含まれます。
このフレームを長く使うために
せっかく手に入れた一本は、できるだけ長く、美しい状態で使いたいですよね。マックス・ピティオンのようなアセテート素材のフレームは、日々のちょっとしたケアで持ちが変わります。ここでは、私が実際に使ってみて「これは役立つ」と感じたケアアイテムを紹介します。
まず、フレームのツヤを保つには専用の研磨クリームが便利です。細かなくすみを落とし、しっとりとした光沢を取り戻してくれます。
※当記事のリンクには広告(PR)が含まれます。
※研磨は力を入れすぎず、目立たない部分で試してから使うと安心です。
次に、レンズの汚れをさっと拭き取りたいときには、使い切りタイプのレンズワイプが重宝します。外出先でも清潔に保てます。
※当記事のリンクには広告(PR)が含まれます。
※コーティングを傷めないよう、砂ぼこりが付いたレンズはまず水で流してから拭くのがおすすめです。
仕上げの拭き上げには、昔ながらのキョンセームがよく合います。皮脂汚れをやさしく取り除き、指紋の残りにくいクリアな状態に整えてくれます。
※当記事のリンクには広告(PR)が含まれます。
※水洗いすると硬くなりますが、もみほぐせば風合いが戻ります。中性洗剤でのやさしい手洗いが基本です。
まとめ——マックス・ピティオンは「攻める勇気」をくれるブランド
マックス・ピティオンは、フランスで生まれ、一度は消え、ジョン・メイヤーとタミー・オガラの手で日本によみがえった、物語のあるブランドです。ポリティシャンをはじめとする個性的なモデルは、かける人を選びます。でも、その一本が似合ったときの高揚感は、他では味わえません。「あえてクセを残す」という哲学は、私たちに「少しだけ攻める勇気」をくれる気がします。
もし今はまだ手が届かなくても、それでいいのだと思います。眼鏡は、自分の変化とともに似合うものが変わっていくものです。いつか「今なら似合う」と思える日のために、こうして知識を蓄えておくこと自体が、立派な第一歩です。
なお、同じくフランス系のハイエンドブランドが気になる方は、ジャックマリーマージュ(JMM)の記事もチェックしてみてください。比べてみると、それぞれの個性がより鮮明に見えてきます。
マックス・ピティオンに心を惹かれつつ、まだ一歩を踏み出せない——そんな方は、まず日常使いの眼鏡をZoffやJINSで整えておくのもおすすめです。土台となる一本があれば、いざ「攻めた眼鏡」に挑戦するときも気持ちに余裕が生まれます。
※当記事のリンクには広告(PR)が含まれます。
-
Shady CHARACTERの評判と特徴を徹底解説【2026年版】|Julius Tart Opticalと同じルーツを持つ隠れた名品
-
12homemadeの評判と特徴を徹底解説【2026年版】|1人の職人が手作りする、知る人ぞ知る眼鏡