「AHLEM(アーレム)って、なんだかすごく格好いいけれど、実際どんなブランドなんだろう」——そう感じたことはありませんか。
AHLEMは2014年に生まれたアイウェアブランドです。特徴は、装飾を削ぎ落としたミニマルなデザインと、職人の手仕事。アセテートとメタルのフレームはフランス・ジュラ地方で作られ、チタンのモデルは日本で作られています。
ただ、価格は7〜9万円台。気軽に試せる金額ではないだけに、正体が分からないまま踏み出せない方も多いはずです。
この記事では、AHLEMの評判・口コミ、創業の物語、名作モデル、現行ラインナップ、価格の目安、そして向いている人までを整理します。小学6年生から30年以上眼鏡をかけ続け、これまでに50本以上を手にしてきた私自身の経験をもとに、わかりやすく纏めた記事になります。(ちなみに私は、AHLEMのフレームを1本所有しています)読み終わるころには、このブランドが自分に合うかどうかがはっきり見えているはずです。
AHLEM(アーレム)とはどんなブランド?創業の背景とコンセプト
まずはブランドの輪郭から押さえていきます。ここでは創業者の経歴、デザインの下敷きになっている思想、そして「なぜここまでシンプルなのか」の3点を見ていきます。
結論からいえば、AHLEMはパリ生まれのひとりの女性が、ロサンゼルスで立ち上げたブランドです。デザインは徹底的にミニマル。それでいて、手仕事の温度がしっかり残っています。
パリ生まれのデザイナーが、ロサンゼルスで立ち上げたブランド
AHLEMは2014年、アーレム・マナイ=プラット(Ahlem Manai-Platt)氏によって設立されました。ブランド名は、ご本人の名前がそのまま使われています。パリで生まれ育ち、現在はロサンゼルスを拠点に活動するデザイナーです。
意外なのは、もともと眼鏡の世界の人ではなかったことです。学生時代に学んだのは歴史と写真で、戦場ジャーナリストを目指していた時期もありました。
その後ファッション業界に入り、AcneやMiu Miu(プラダ グループ)でバイヤーとして経験を積みます。2012年にプラダ グループを離れ、新進デザイナーを支援するコンサルティング会社を設立。そこからAHLEMの創業へとつながっていきます。
つまりAHLEMは、ファッションの目利きとして10年近くを過ごした人が、自分の欲しい眼鏡を作るために始めたブランドなのです。
「バウハウス」に導かれたデザイン哲学
AHLEMのデザインを語るとき、欠かせない言葉があります。バウハウスです。
バウハウスとは、1919年にドイツで生まれた造形学校であり、そこから広がったデザイン思想のことです。「装飾のための装飾を削ぎ落とし、機能から生まれる美しさを追う」という考え方が根っこにあります。難しく聞こえますが、要は「余計なものを足さない」ということです。
公式サイトも、バウハウスのデザイン原則を一貫した美意識の参照軸としていると説明しています。
面白いのは、マナイ=プラット氏がバウハウスを学んで取り入れたわけではない点です。Kinfolk誌のインタビューでは「バウハウスの精神を、名前も知らないうちから好きだった」と語っています。理屈が先にあったのではなく、感覚が先にあったわけです。
AHLEMのデザインはなぜここまでシンプルなのか?
では、なぜAHLEMのフレームはここまで削ぎ落とされているのでしょうか。
マナイ=プラット氏は「私が下すすべてのデザイン上の判断は、長く使えることに関わっている」と語り、端正なシルエットと上質な素材の組み合わせを大切にしています。ブランド側の設計思想の軸は、あくまで「長く使えること」に置かれているわけです。
ここからは私の受け取り方になりますが、流行を強く映した装飾は、数年経つと時代が見えてきます。一方で、必然性から生まれた線は印象が変わりにくい。AHLEMのフレームが一見おとなしく、それでいて記憶に残るのは、この設計思想の結果ではないかと感じています。
AHLEMを知ったきっかけは、YouTubeチャンネル「D-Eye眼鏡チャンネル」の紹介動画でした。取り上げられていたのはメタルフレームで、実はテレビ番組の出演者が掛けていたモデルの紹介だったのです。NHKの番組『世界はほしいモノにあふれてる』で紹介されていた、キャットアイの斬新なモデルでした。
斬新な形なのに、スタイリングに驚くほどすっきり馴染んでいて、性別を問わずしっくりくるキャットアイを見たのはそのときが初めてでした。
メタルフレームにはツーブリッジやハイブリッジなど個性的なモデルも多いなかで、AHLEMはモダンで掛けやすい印象が強いブランドだと感じました。メタルだけでなく、セルフレームも魅力的です。クラシックな印象のモデルから、今はやりのナローシェイプまで幅広く揃っています。
プラスチックフレームは面ごとのカッティングが斬新で、デザイナーが建築、なかでもブルータリズム建築からインスピレーションを受けていることを知ると、あの光を操るようなカッティングにも納得がいきます。クラシックとモダンが融合した、魅力的な眼鏡だと思います。
AHLEMの評判・口コミから見えてくること
「実際に使っている人はどう感じているのか」も気になるところですよね。ここでは購入者のレビューや国内正規取扱店の発信から、良い評価・気になる評価の両方を整理します。
先にお伝えしておきたいことがあります。AHLEMは国内の正規取扱店が限られ、ブランドの方針としてオンライン販売も行っていません。そのため、口コミの母数そのものが多くないブランドです。以下は、確認できた範囲の声をまとめたものです。
良い評価として挙がっている声
- 手に取ったときの質感:細く繊細に見えるのに手にするとしっかり張りがあり、そこに価格分の手触りを感じたという購入者の評価が見られます
- アクセサリーに近い華やかさ:視力を補う道具というより、装身具として顔まわりを飾ってくれる存在だと紹介する国内正規取扱店もあります
- 控えめなのに埋もれない:ぱっと見は派手ではないのに、他ブランドでは見かけない造形が入っている。その加減の良さを評価する声が複数ありました
- 細部の作り込み:ハンドハンマー(槌目)の仕上げやノーズパッドの形など、目立たない部分にまで手が入っているという評価です
気になる評価・注意点として挙がっている声
- 軽さを最優先したブランドではない:メタルフレームは、あえて重さのある合金を採用していると説明する正規取扱店があります。理由はメッキの色と艶を最もきれいに出すためとのこと。軽さを重視する方は、実物での体感差を確認しておきたいポイントです
- 細身のメタルは耳への当たり方に相性が出る:ある購入者は、テンプル(つる)が耳の付け根に当たって痛みが出て、フィッティング後も解消しなかったと記録しています。細いメタルのテンプルは、耳の形との相性が出やすい部分です
- ブリッジが日本人の鼻に合いにくい場合がある:海外ブランドのため、国内正規店ではセルフレームに鼻盛り(クリングスやパッドの追加調整)を施してから店頭に並べている店もあります
- ハーフリムはレンズ加工が割高になることがある:レンズに溝を掘る加工が必要なため、特別な加工賃がかかる場合があります。中古や並行品では加工自体を断られたという例も見られました
口コミはどこまで参考にできるか
正直に言えば、AHLEMの口コミは「情報量が多くて選びやすい」状態ではありません。母数が少ないうえ、掛け心地の評価は顔立ちや耳の形との相性に強く左右されます。
つまり「痛くなった」という声も「掛け心地が良い」という声も、どちらもその人の条件での結果です。鵜呑みにするより、判断材料の一つとして扱うのが現実的です。
だからこそ、正規取扱店で実物に触れて、調整してもらえる環境で選ぶ意味が大きくなります。調整で何がどこまで変わるのかを知っておきたい方は、眼鏡のフィッティングの仕組みもあわせてどうぞ。
ブランドを押し上げた出来事と、代表モデル「Jules」
AHLEMは創業から10年あまりの若いブランドです。それでも、すでにいくつもの記憶に残る出来事を残してきました。ここでは評価を押し上げた出来事、モデル名の付け方、そして私が所有しているJulesを順に見ていきます。
パリ「コレット」での快挙と、CFDAでの評価
AHLEMの名を一気に広めたのが、パリの伝説的セレクトショップ「コレット(Colette)」での扱いでした。2017年末に惜しまれつつ閉店したこの店で、AHLEMは4年連続でベストセラーのアイウェアになったと伝えられています。世界中のバイヤーが注目する店での実績は、ブランドにとって大きな追い風になりました。
さらに2017年、アーレム・マナイ=プラット氏は「CFDA/Vogue Fashion Fund」で準優勝に選ばれています。優勝したのはTelfarで、Chromatのデザイナーとともに次点となり、賞金15万ドルを受け取りました。優勝ではありませんが、アイウェアブランドがこの舞台で評価されること自体が異例です。
モデル名に並ぶパリの地名
AHLEMのモデル名を眺めると、あることに気づきます。Montsouris、Belleville、Sacre Coeur、Couronnes、Gaillon、Royale、Cambronne、Colisee、Gambetta、Reaumur、Galilee——。その多くが、パリの通り・広場・公園・地下鉄駅の名前です。
なぜこの名付け方なのか、公式に明示された説明は見つけられませんでした。ただ、ロサンゼルスを拠点にしながらフランスで作り続けるブランドにとって、パリの地名は出自を示す分かりやすい記号でもあります。名前を呼ぶたびに、そのフレームがどこから来たのかを思い出せる——私はそう受け取っています。
ちなみに、SeoulやNew Yorkのように都市名を冠したモデルもあります。パリを軸にしながら、世界の街の名前も取り入れているようです。
Jules(ジュール)——私が一目惚れした一本
数あるモデルのなかで、私が一目惚れしたのがJules(ジュール)です。
Julesは、デザイナーが「格好いい」と感じた東京のスタイルから着想を得たといわれる、天地の浅い、細身(ナロー)の多角形シェイプです。サイズは53□19-150。特徴は「ローカット(raw cut)」と呼ばれる仕上げで、ツヤのある面とマットな面のコントラストが生まれます。テンプルには、三角と丸を組み合わせたAHLEMのシグネチャーリベットが効いています。限定エディションとして展開されているモデルです。
写真で見た瞬間に「これだ」と思いました。きっかけは、眼鏡ライターの藤井たかのさんが運営するYouTubeチャンネル「メガネ流行通信」で、Julesが紹介されている動画でした。
天地が浅く、角ばったシルエットと、光の当たり方で表情が変わるカット。心が動くというのは、こういうことかと感じたのを覚えています。
ただ、AHLEMは正規取扱店が限られています。しかもJulesは限定モデルです。近所の店にふらっと行って試せるものではありませんでした。そこから取扱店舗や在庫を探しまくり、最終的に、オークションサイトに中古で出品されていたものを見つけて、ようやく手に入れました。ここまで粘って追いかけたフレームは、正直そう多くありません。
素材で選ぶ3つのライン——アセテート・メタル・チタン
AHLEMのコレクションは、素材で3つに分けて考えると分かりやすくなります。見た目の印象も、かけ心地も、作られる場所も、それぞれ違います。
アセテートフレーム——コットン由来の8mmシートから削り出す
アセテートは、植物由来の樹脂素材です。AHLEMでは、コットンフラワー由来の厚さ8mmのプレミアムアセテートシートを使うと公式に説明されています。イタリアのマツケリ(Mazzucchelli)社製アセテートを使っていると紹介する正規取扱店もあります。
厚いシートから削り出すため、フロントに深みと立体感が出ます。かけたときの存在感は、金属フレームとはまったく別物です。
素材そのものについてもっと知りたい方は、眼鏡フレームの素材の種類と選び方もあわせてどうぞ。アセテートとセルロイドの違いが分かると、この価格の意味が見えてきます。
メタルフレーム——22Kゴールドとマルトレの輝き
AHLEMのメタルフレームは、高品位な合金にパラジウム・ルテニウム・22金の電気メッキを施して仕上げられます。金属パーツを22金のガルバニック処理で電着させる——これがあの独特の、やわらかく深い金の輝きの正体です。
さらに面白いのが「マルトレ(martelé)」と呼ばれる槌目仕上げです。表面を手作業で打ち出すことで、細かな凹凸が生まれます。すると光が一様に反射せず、角度によって複雑な表情が現れます。Gaillon(ガイヨン)のようなオクタゴン(八角形)モデルで、この効果はよく分かります。
なお、アセテートとメタルのフレームは、どちらもフランス・ジュラ地方で作られています。
チタンフレームは日本製——2021年に起きた変化
見落とされがちですが、大切な事実があります。AHLEMのチタンフレームは、日本で作られています。
国内の取扱店のなかには、2021年からチタン製モデルが日本製に切り替わったと説明している店もあります。アセテートとメタルはフランスで、チタンは日本で。素材ごとに、最も高い技術を持つ土地を選んでいるわけです。
日本国内のどの産地で作られているかまでは、公式に明示されていません。ただ、チタン加工の精度において世界的に評価されているのは、鯖江を中心とする日本の産地です。フランス・ジュラ地方と日本。世界三大眼鏡産地のうち2つが、1つのブランドの中で関わっていることになります。
産地ごとの違いに興味がある方は、眼鏡の産地の違いと鯖江が「聖地」と呼ばれる理由も参考になります。
2026年の最新コレクションと、選ばれてきた人たち
「今のAHLEMは何が面白いのか」も気になるところですよね。最新コレクションの動きと、これまでにAHLEMを選んできた人たちを見ていきます。
2026年秋冬コレクション「Echoes of Love」
2026年秋冬のコレクションは「Echoes of Love」です。2026年8月に発表され、メタルとアセテートで17型が展開されています。
テーマは、ある1日のなかで移り変わる恋人2人の親密さ。公式サイトは、儀式のような習慣、会話、沈黙、緊張、笑い、そして日常の静かな美しさを通して、2人の関係を描いたコレクションだと説明しています。緊張と優しさの間で揺れる感情の機微を、映画のように追う構成です。
造形面では、洗練されたプロポーションと長く使える素材によって建築的な精度を追う、というAHLEMの方向性が続いています。アセテートは光の当たり方で表情が変わる深い色合いと半透明のニュートラルカラー、メタルはパラジウムの電気メッキに22金の仕上げという組み合わせです。
海外メディアの紹介では、1年をかけて開発したニッケルフリーのブロンズ素材のテンプルや、手打ちの質感、ヒンジやピンに刻まれた丸と三角の幾何モチーフにも触れられています。国内では公式サイトのほか、プレス窓口を通じてメディアに情報が出ている段階です。
春夏コレクション「The Audition」から続くもの
2026年春夏のコレクションテーマは「The Audition」でした。規律のある線と、自由な実験。その2つがせめぎ合う場所を探る、というコンセプトで展開されています。台本のない瞬間、直感、そして受け手それぞれの解釈——そうした余白を残すことを狙ったコレクションです。
私が見ている限り、AHLEMはコレクションが変わっても定番モデルの造形を大きく変えていません。定番は定番のまま残り、そこに新しい解釈が加わっていく形です。そう考えると、今選んだ一本が翌シーズンに見劣りしにくいブランドだと感じます。
ビヨンセ、ケイト・モス、ケンダル・ジェンナーが選んだモデル
AHLEMは、世界的なアイコンたちに選ばれてきたブランドでもあります。
象徴的なのがビヨンセのエピソードです。パリのコレットを訪れた際にAHLEMを2本購入したと伝えられており、選んだのはSt. Martinというモデルだったとされています。ケンダル・ジェンナーはConcordeとBastilleの2型を愛用しているとされ、ほかにもケイト・モス、カーリー・クロス、ジジ・ハディッド、エミリー・ラタコウスキーらの名前が挙がります。
共通しているのは、派手なロゴで主張するタイプの眼鏡ではないという点です。着る人の存在を邪魔しない。だからこそ、人前に立つ職業の人に選ばれているのかもしれません。
AHLEMならではの強みはどこにある?
「デザインが良いだけなら、他にもある」——そう思う方もいるでしょう。AHLEMの強みは、その裏側にあります。ここでは生産体制と、光の扱い方という2つの側面を見ていきます。
ジュラ地方・オヨナックスの3つのアトリエ
AHLEMのアセテートフレームは、フランス・ジュラ地方のオヨナックスで作られています。オヨナックスは、フランスの眼鏡づくりの歴史そのものといえる土地です。
しかも1つの工房で完結しません。3つの専門アトリエを渡り歩いて、ようやく1本が完成します。切削、研磨、組み立て——工程ごとに、その道の専門家が担当するわけです。手間はかかりますが、それぞれの工程の精度は上がります。
300工程以上を支える「フランス最優秀職人」の手
公式サイトには、こう記されています。1本のAHLEMフレームは9〜15人の熟練の手を経て、300を超える工程を必要とする、と。
さらに、その職人のなかには「Meilleurs Ouvriers de France(フランス最優秀職人)」の称号を持つ人が含まれることも多いと説明されています。これはフランス国家が卓越した手仕事に授与する最高位の称号です。
国が認めた手仕事が工程に関わっている——そう考えると、価格の見え方が少し変わってきませんか。
光の反射をデザインするという発想
AHLEMのフレームを実物で見ると、写真とは印象が変わります。理由は、光の扱い方にあります。
Julesのローカットは、ツヤ面とマット面を意図的に隣り合わせます。Gaillonのマルトレは、表面に無数の微細な凹凸を作ります。どちらも「形」ではなく「光の反射」をデザインしている点で共通しています。装飾を削ぎ落としたミニマルなブランドが、なぜ地味に見えないのか。私はここに理由があると考えています。
私は実際に、セルフレームの「Jules」というモデルを所有しています。手に取った瞬間の印象は、フレームにしっかり厚みがあってかっこいい、でした。
カッティングへのこだわりも強く感じます。切りっぱなしで素材感を活かした面があるかと思えば、細部にカッティングが施されて光の反射がきれいな面もあり、高級感があります。
重さは、細部のカッティングや生地の厚みを考えると、重たいと感じることはありませんでした。ただ、これは私が手にした一本での感想です。
同じモデルを検討している方への参考として付け加えると、私のJulesはサイズが少し大きめのモデルだったので、フィッティングは少しきつめに合わせています。きちんと調整すれば、ずり落ちてくることもありません。トータルでとても満足感のある一本です。良い眼鏡を手に入れたと思うと、それだけでワクワクします。
価格帯・レンズ・アフターサービス
ここからは現実的な話です。「実際いくらで、どこで買えるのか」を整理しておきます。
価格の目安と、「店に聞く」のが前提になっている理由
先にお伝えしておきたいことがあります。AHLEMは、正規取扱店の多くが価格をWebサイトに掲載していません。
これはブランドの方針によるものです。オンラインでの販売を行わない前提のため、国内正規店の商品ページを見ても価格欄が空欄だったり、「在庫・価格はお問い合わせください」と案内されていたりします。ネットで調べても値段が出てこないのは、情報が隠されているからではなく、そういう売り方だからです。
公開されている情報から見える目安は、おおむね8万円前後です。モデルによって7万円台から9万円台に分布し、たとえばCouronnesで8万円台前半、Gaillonで8万円台後半という価格が紹介されています。ただしこれは2026年8月時点で確認できた参考情報にすぎません。購入前に、正規取扱店で最新の価格を確認してください。
度付きレンズへの入れ換えはできる?
できます。AHLEMのフレームに度付きレンズを入れて、日常の眼鏡として使うことは一般的です。ただし、フレーム代とは別にレンズ代がかかります。
注意したいのは、細身のメタルフレームや小さめのレンズシェイプの場合、強い度数だと厚みが目立ちやすい点です。また、ハーフリム(ナイロール)のモデルはレンズに溝を掘る加工が必要になるため、加工賃が上乗せされることもあります。
度数が強めの方や、ハーフリムのモデルが気になっている方は、フレームを決める前に店で相談しておくと安心です。レンズの選択肢については眼鏡レンズの種類と選び方も参考になります。
正規取扱店を選ぶ理由
AHLEMは、国内では限られた正規取扱店で扱われています。ポンメガネ大宮、トリプル銀座といった専門店が代表的です。
正規店をおすすめする理由は2つあります。1つは保証とアフターサービス。もう1つはフィッティングです。
海外ブランドのフレームは、日本人の顔立ちに合わせた微調整をしてこそ本来のかけ心地になります。先ほどの口コミで触れたように、鼻盛りを追加してから店頭に並べている店もあるほどです。ネット通販の価格差だけで判断すると、後から調整先に困ることもあります。
このブランドが向いている人・向いていない人
ここまで読んで、「自分に合うだろうか」と考えている方もいると思います。正直なところを整理します。
DITA・Oliver Peoples・JMMとの違いはどこにあるか
AHLEMと同じ7〜10万円前後の価格帯には、いくつもの有力ブランドがあります。比べてみると、性格の違いがはっきりします。
| ブランド | 生産地 | 方向性 |
|---|---|---|
| AHLEM | フランス・ジュラ地方(チタンは日本) | 削ぎ落としたミニマル。静かな存在感 |
| DITA | 日本・鯖江仕上げ | ハリウッド的な華やかさと精密なメタルワーク |
| Oliver Peoples | イタリア・日本ほか | 上品なヴィンテージ感とハリウッドの空気 |
| JMM(ジャックマリーマージュ) | 日本・鯖江(一部イタリアとの情報も) | 立体的で彫刻的な造形と圧倒的な存在感 |
同価格帯のブランドが気になる方は、DITAの評判と特徴、Oliver Peoplesの評判と特徴、ジャックマリーマージュ(JMM)の魅力もあわせて読むと、自分の好みの方向がつかめてきます。
向いている人
- 装飾よりも、線の美しさで選びたい人:AHLEMは形とカッティング、光の反射そのものをデザインしているブランドです。派手な装飾がない分、造形の美しさに魅力を感じられるかが選ぶ基準になります
- 流行の移り変わりに左右されにくい一本を探している人:定番モデルの造形を大きく変えず、シーズンごとに新しい解釈を重ねていくスタンスなので、今選んだ一本が数年後も見劣りしにくいです
- ロゴで主張しない「静かな上質さ」が好みの人:ブランド名を大きく打ち出すタイプではなく、手に取ったときの質感や細部の作り込みで良さが伝わるブランドです
- フランスと日本、それぞれの産地の手仕事に価値を感じる人:ジュラ地方の3つのアトリエでの分業、300を超える工程、フランス最優秀職人の関与など、ものづくりの背景に納得感を求める人に向いています
- パリの空気感をまとった、都会的な雰囲気を求める人:モデル名にパリの地名が使われるなど、ブランドの出自がデザインの端々に感じられます
向いていない人・選ぶときの基準
一方で、次のような方には向かないかもしれません。
- 華やかで一目で分かる個性を求める人:AHLEMは物足りなく映る可能性があります
- 店頭でじっくり試着してから決めたい人:正規取扱店の少なさがハードルになります
- 軽さを最優先したい人:メタルフレームは体感を確かめてからのほうが安心です
- 価格を最優先する人:8万円前後という金額は簡単な決断ではないはずです
選ぶときの基準はシンプルです。「この線が好きかどうか」。AHLEMは機能で選ぶブランドというより、造形に共感できるかで決まるブランドだと思います。ただし、細身のメタルは顔なじみや耳の当たり方に差が出やすいので、可能なら一度かけてみるのが確実です。
実際、Julesを購入するときには不安もありました。Julesは縦浅の多角形シェイプで、レンズ幅が少し広めのサイズです。私の度数では、レンズの厚みが気になってしまうかもしれない——そんな心配が頭をよぎりました。
それでも、フレームにしっかり厚みがあること、何より一目惚れに近いシェイプだったことが背中を押してくれました。思い切って購入した結果は、良好でした。レンズの厚みはフレームの厚みに自然と溶け込んで、まったく目立ちませんでした。本当に嬉しい誤算でした。
あくまで私のケースですが、フレームに厚みがあれば、多少レンズ幅が広いフレームも選択肢に入れられる——試してみて初めて気づいたことです。眼鏡選びの楽しさを、改めて実感した瞬間でした。
私が所有しているJulesも、実際に掛けてみるとイメージ通りでとても満足しています。多角形シェイプで少しくせのある形ですが、着るものに左右されない万能な使い勝手です。天地の浅い眼鏡を探しつつ、モダンな印象も欲しい——そんなわがままな両立を叶えてくれるかっこいいシェイプだと思います。ここ最近はかなりヘビロテしています。
いきなり8万円のフレームは勇気がいる、という方も多いと思います。その場合は、まず自分に似合うシェイプを手頃な価格帯で見極めるのも一つの方法です。JINSやZoffなら、細身のメタルやスクエア系の形を気軽に試せます。似合う形が分かってから本命に進めば、後悔がぐっと減ります。
※当記事のリンクには広告(PR)が含まれます。
このフレームを長く使うために
手に入れた一本を、できるだけ長く美しく使いたいですよね。300工程を経て作られたフレームだからこそ、日々のお手入れが効いてきます。ここでは私も使っているケアアイテムを紹介します。
フレームの艶を守る(セルロイド・アセテート素材向け)
セルロイドやアセテートのフレームは、使い続けると表面が白くくすんでくることがあります。眼鏡専門ブランドDJUALのポリッシングクリームは、自宅で表面の艶を整えたいときに使えるアイテムです。仕上がりはフレームの状態や素材によって変わります。
ご注意: マット加工(艶消し加工)を施したフレームには使用できません。また、レンズ部分には絶対に使用しないでください。ご使用前にフレームの仕上げをご確認ください。
※当記事のリンクには広告(PR)が含まれます。
レンズを毎日清潔に
世界的光学ブランドZEISSの個包装ワイプは、全世界で年間10億個販売されている定番品。外出先でもすぐに使えて、コーティングレンズにも使いやすい設計です。
ご注意: コンタクトレンズには使用できません。レンズにゴミや砂粒が付着した状態で拭くと傷がつく恐れがあります。使用前にレンズの表面をご確認のうえ、開封後はすぐにご使用ください。
※当記事のリンクには広告(PR)が含まれます。
仕上げは天然セーム革のクロスで
春日のキョンセームは、天然素材ならではのやさしい拭き心地が特徴。細かい繊維が油分・指紋を絡め取り、拭き傷がつきにくいのが魅力です。
ご注意: Amazon等では中国製の類似品が流通しています。正規品の春日(KASUGA)製品はパッケージおよびクロス表面(光沢面)に「春日」または「KASUGA」のロゴが入っています。ご購入の際は販売元が「春日」であることをご確認ください。
※当記事のリンクには広告(PR)が含まれます。
まとめ——AHLEMという選択に込められた意味
AHLEMは2014年、パリ生まれのアーレム・マナイ=プラット氏がロサンゼルスで立ち上げたブランドです。ファッション業界で目を鍛えた人が、バウハウスの精神に導かれてたどり着いたのが、あの削ぎ落とされた造形でした。
アセテートフレームはフランス・ジュラ地方のオヨナックスにある3つのアトリエで、9〜15人の職人が300を超える工程を重ねて仕上げます。チタンモデルは日本製。パリの地名を冠したモデル名が、ブランドの出自を静かに語り続けます。
評判を見ると、質感や細部の作り込みへの評価が高い一方で、軽さを最優先した設計ではないこと、細身のメタルは耳との相性が出やすいことも分かります。だからこそ、正規取扱店で実物に触れて選ぶ価値があるブランドです。
8万円前後という価格は、決して軽い金額ではありません。それでも、フランス国家が認めた手仕事と、長く使うことを前提に設計されたデザインを手に入れると考えれば、見え方は変わってくるはずです。AHLEMを選ぶことは、流行ではなく「線の美しさ」に投資することなのだと思います。
眼鏡が「道具」から「愛着のある相棒」に変わる瞬間を、AHLEMはきっと味わわせてくれます。もっと深い眼鏡の世界をのぞいてみたい方は、沼落ち日記〜眼鏡編〜もあわせてどうぞ。
まずは自分に似合う形を確かめたい、という方は、JINSやZoffで定番シェイプに触れてみるところから始めてみてください。「好き」の輪郭が見えてくると、次の一本選びがもっと楽しくなります。
※当記事のリンクには広告(PR)が含まれます。
-
BJ CLASSIC COLLECTIONの評判と特徴を徹底解説【2026年版】|アメリカンオプティカルの系譜を受け継ぐ鯖江のクラシック
-
メガネの寿命はどのくらい?買い替えのサインと長持ちさせるコツを解説