「眼鏡店やオンラインショップで、トニーセイムという名前をよく見かける」。
そう感じていても、実際にどんなブランドなのかは意外と知られていません。あなたも、名前は知っているけれど中身はよく分からない、と感じていませんか。
この記事では、TonySame(トニーセイム)というブランドの歴史・コンセプト・独自機構・価格帯・向いている人までをまとめて解説します。実は私自身も、これまでは「クラシックで、つくりの良さそうな眼鏡」という印象を持っている程度でした。今回はその印象の正体を、一緒に深掘りしていきましょう。
TonySame(トニーセイム)とは?ブランドの歴史と創業コンセプト
TonySame(トニーセイム)は、2010年に日本と香港を拠点として生まれたアイウェアブランドです。
なぜアジア発なのに日本の職人技術が語られるのか。その理由は、ブランドを手がけた人物にあります。
2010年、「共感」から始まったアイウェアブランド
TonySameは2010年に「共感」という言葉をコンセプトに掲げてスタートしました。
理由はシンプルです。眼鏡を使う人のニーズを察知し、ユーザー目線でものづくりを行う。その姿勢を一言で表したのが「共感」でした。実際にブランドは、アジアの人々の骨格や感性に寄り添う設計を軸に成長していきます。だからこそ、掛け心地とデザインの両立が生まれたのです。
999.9(フォーナインズ)創業者・三瓶哲男氏が手がけた背景
TonySameを語るうえで欠かせないのが、三瓶哲男氏の存在です。
三瓶哲男氏は、日本を代表する眼鏡ブランド999.9(フォーナインズ)の創業者として知られる人物です。1995年にフォーナインズを立ち上げ、掛け心地を追求する設計思想で日本の眼鏡界に大きな足跡を残しました。2008年にフォーナインズを離れ、2010年に新たに立ち上げたブランドがTonySameです。この背景を知ると、TonySameの掛け心地へのこだわりに納得できます。
フォーナインズについては、999.9(フォーナインズ)の評判と特徴でも詳しく解説しています。あわせて読むと、TonySameの設計思想のルーツがより深く分かります。
なお、ブランドの立ち上げには、アラン ミクリのアジア地域責任者を務めた人物(ケイマン・チョン氏)も関わったとされています。ただしこの点は公式サイトに明記がないため、あくまで「関わったとされる」レベルの情報として受け止めてください。
2017年のリブランディング──ブランド名に「:」が加わった理由
TonySameは2017年にリブランディングを行い、ブランド名の後ろに「:」(コロン)が加わりました。
なぜ記号を加えたのでしょうか。公式によれば、このコロンには「2つの言葉をつなげる」「後に続く言葉で定義する」という2つの意味が込められています。さらにコンセプトも「共感」から「Connect(つながる)」へと進化しました。関わるすべての人・モノ・コトと共感の心でつながり、変化・進化し続ける。そんな姿勢を、小さな記号ひとつで表現しているのです。
過去の名品・代表シリーズを振り返る
TonySameには、ブランドの個性を象徴するいくつかの代表シリーズがあります。
ここでは、その中でも押さえておきたいものを紹介します。
エントリーラインの定番「NewWave(ニューウェーブ)」シリーズ
まず知っておきたいのが「NewWave(ニューウェーブ)」です。
これはTonySameの中でも比較的手に取りやすい価格帯のシリーズで、コンビネーションフレーム(金属と樹脂を組み合わせたフレーム)が中心です。金属の軽さと樹脂の柔らかい印象を両立できるため、TonySameらしさを気軽に味わいたい人の入り口になります。初めての1本として選ぶ人が多いのも、このシリーズです。
素材と機構で選ぶ「Ligament」「Celluloid」コレクション
TonySameは、素材や機構ごとにコレクションを分けているのも特徴です。
たとえば独自機構を名前に冠した「Ligament(リガメント)」コレクションや、深みのある艶が魅力の「Celluloid(セルロイド)」コレクションがあります。ほかにも「HD collection」「T-cut」「V-cut」「Light Flow」など、公式サイトには多彩なシリーズが並びます。目的や好みに合わせて選べる幅の広さが、TonySameの懐の深さといえます。
日本メガネ大賞受賞モデルが示すブランドの実力
TonySameの実力は、受賞歴にも表れています。
具体的には、国際メガネ展(IOFT)の「日本メガネ大賞」で、2020年にレディース部門、2022年にデザイン部門を受賞しています。この賞は業界内での評価を示すもので、デザイン性と実用性の両面が認められた証といえます。新しいブランドでありながら着実に評価を積み重ねている点は、信頼につながる要素です。
現在のラインナップと近年の売れ筋
TonySameの現行ラインナップは、大きく3つのフレームタイプに分けられます。
自分に合う1本を探すうえで、まずはこの分類を知っておくと選びやすくなります。
プラスチック(セル)フレームの種類と特徴
プラスチックフレームは、TonySameの表現力が最も出るタイプです。
アセテートやセルロイドといった素材を使い、香港の感性を反映した豊かなカラーリングが魅力です。顔まわりに存在感を出したい人や、色で個性を楽しみたい人に向いています。クラシックなボストンやウェリントンといった定番シェイプが揃うため、幅広い年代が選びやすいのも特長です。
素材ごとの違いをもっと知りたい方は、眼鏡フレームの素材の種類と選び方もあわせてご覧ください。
メタルフレームの種類と特徴
メタルフレームは、軽さとシャープな印象を求める人に向いています。
TonySameはチタンやベータチタンを積極的に採用し、細身でも強度と柔軟性を確保しています。顔になじむ繊細なライン取りは、ビジネスシーンにもよく合います。派手すぎず、しかし平凡でもない。その絶妙なさじ加減が、TonySameのメタルフレームの持ち味です。
コンビネーションフレーム──トニーセイムらしさが最も出る選択肢
3つ目のコンビネーションフレームは、TonySameらしさが最も凝縮された選択肢です。
金属と樹脂を組み合わせることで、軽さ・強度・デザイン性を同時に叶えます。前述のNewWaveシリーズもこのタイプが中心です。どのタイプを選べばいいか迷ったら、まずはコンビネーションフレームから見てみるのがおすすめです。
TonySameが選ばれる理由──3つの独自機構が掛け心地を変える
TonySameの最大の魅力は、掛け心地を支える独自機構にあります。
なぜここまで「掛け心地が良い」と言われるのか。その答えが、リガメント・CS・MCPという3つの機構です。
リガメント(Ligament)──ベータチタンが生む繊細なバネ性
リガメントは、丁番付近に仕込まれた板状のパーツです。
素材にはベータチタンが使われ、しなやかなバネのように動きます。これにより、かけ外しのときに加わる力を効率よく分散し、フレームの変形を防ぎます。結果として、柔らかく軽いかけ心地が長く保たれるのです。掛け心地とフレームの寿命、その両方に効く仕組みといえます。
こうしたバネ機構は、丁番(ヒンジ)の構造を知るとより理解が深まります。詳しくは眼鏡の丁番(ヒンジ)とカシメの種類と特徴で解説していますので、あわせてご覧ください。
CS──形状記憶チタンが実現する360°フレキシブル構造
CSは、TSチタンという形状記憶特性を持つ素材で作られた棒状のパーツです。
このパーツが、360度あらゆる方向への柔軟性を生み出します。テンプル(つる)が多少ねじれても元に戻るため、扱いが荒くなりがちな人でも安心です。長く快適に使いたい人にとって、心強い機構といえます。
MCP──人体の関節にヒントを得た2段階スプリング
MCPは、人体の関節構造にヒントを得た機構です。
折り返したチタンによって2段階のスプリング構造を作り、包み込むような柔らかいフィット感を実現します。こめかみを強く締めつけず、それでいてズレにくい。この相反する要素を両立させている点が、TonySameの技術力を象徴しています。
なぜトニーセイムの眼鏡は顔に馴染むのか?──アジアフィットの思想
TonySameの眼鏡が「顔に馴染む」と言われるのには、明確な理由があります。
それは、アジア人の骨格を前提に設計されているからです。
アジア人の骨格・鼻・耳に合わせた設計思想
TonySameは、アジアの人々の顔立ちを起点に設計されています。
欧米ブランドの眼鏡は、鼻が浮いたりこめかみが当たったりすることがあります。理由は、そもそも想定している骨格が違うからです。TonySameは鼻の高さ・目の位置・耳の位置といったアジア特有のバランスを踏まえて作られています。だからこそ、無理なく顔になじむのです。
体温感知型の鼻パッドが生む「ズレにくさ・痕がつかない」快適さ
TonySameは、鼻パッドにもこだわっています。
体温に反応してなじむタイプの鼻パッドを採用し、ズレにくさと痕のつきにくさを両立しています。眼鏡が下がってくる、跡が残る、といった悩みは多くの人が抱えるものです。こうした細部の工夫が、日常の快適さを大きく左右します。フィッティングの考え方については眼鏡のフィッティングとは?も参考になります。
香港の感性×鯖江の職人技が融合したカラーリングの世界
TonySameのもう一つの魅力が、色使いです。
香港のデザイン感性から生まれる大胆で洗練されたカラーリングを、日本の鯖江(福井県)と中国・深圳の工場が形にしています。鯖江は世界が認める眼鏡の一大産地です。アジアの感性と日本のものづくりが掛け合わさることで、他にはない表現が生まれています。鯖江がなぜ特別なのかはメガネの産地(鯖江が世界の聖地と呼ばれる理由)で詳しく解説しています。
TonySameの価格帯・購入方法・アフターサービス
TonySameを検討するうえで気になるのが、価格と買い方です。
ここでは現時点で確認できる情報を整理します。
フレーム価格帯の目安(2026年時点)
TonySameのフレーム価格は、おおむね2万円台前半から4万円前後(税込)が中心です。
たとえばセルロイドやアセテートのモデルは25,300円〜29,700円(税込)が目安です。リガメントを使ったモデルは2万円台前半から、CSやMCPといった高機能な機構を備えたモデルは4万円前後になります。ハイブランドほど高額ではなく、それでいて量販店より上質。この「手が届く本格派」という立ち位置が、TonySameの魅力です。
※価格は改定される場合があります。購入前に必ず取扱店や公式サイトで最新の価格をご確認ください。
購入できる場所──取扱店とオンラインの選択肢
TonySameは、全国の眼鏡専門店やセレクトショップで取り扱われています。
公式サイトでは取扱店の情報が確認できます。ただし店舗によって在庫やラインナップは異なります。掛け心地を試したいなら、実店舗での試着が確実です。オンラインで気になるモデルを見つけたら、近くの取扱店に在庫を問い合わせてみるのがおすすめです。
アフターサービスと保証について
アフターサービスは、購入した取扱店で受けるのが基本です。
鼻パッドの交換やフィッティング調整などは、多くの場合購入店が対応してくれます。ただし保証の範囲や期間は店舗によって異なる場合があります。購入時に、調整や修理の対応について確認しておくと安心です。
こんな人にTonySameをおすすめしたい
ここまで読んで、TonySameが自分に合うか気になってきた方も多いはずです。
向いている人・向いていない人を整理しておきましょう。
TonySameが特に向いている人のタイプ
TonySameは、次のような人に特に向いています。
- 掛け心地を最優先で選びたい人
- 量販店では物足りないが、高級ブランドまでは手が届かない人
- クラシックなシェイプに、少し個性的なカラーを添えたい人
- 眼鏡がズレる・痕がつくといった悩みを解消したい人
- 日本製の技術と、アジア発ブランドのストーリーに惹かれる人
理由は明確です。TonySameは掛け心地の機構・アジアフィット設計・手の届く価格帯という3拍子が揃っているからです。「良い眼鏡が欲しいけれど、何十万円もは出せない」という人の、ちょうど良い着地点になります。
逆に向いていない人はどんな人?
一方で、TonySameが向いていない人もいます。
たとえば、とにかく安さを最優先する人には、価格が少し高く感じられるかもしれません。また、海外の伝統的なラグジュアリーブランドの「格」を重視する人には、方向性が異なります。ただし、まずは幅広い選択肢を見比べたいなら、身近な量販店から試してみるのも良い方法です。価格やテイストの基準を知る意味でも、Zoff・JINSといったブランドは比較の入り口になります。
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このフレームを長く使うために
TonySameのような精緻なフレームは、日々のちょっとしたケアで寿命が大きく変わります。
せっかく手に入れた1本を長く愛用するために、簡単にできるお手入れの習慣を紹介します。
フレームの艶や輝きを保ちたいときには、金属部分をやさしく磨けるポリッシングクリームが役立ちます。
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レンズの皮脂や汚れは、放置するとコーティングを傷める原因になります。個包装のレンズワイプがあれば、外出先でもさっと拭けて清潔に保てます。
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毎日の乾拭きには、レンズにやさしいセーム革がおすすめです。1枚持っておくと、指紋や軽い汚れをきれいに落とせます。
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トニーセイムと出会って、感じたこと
ここからは、私自身がTonySameに対して抱いてきた印象を、正直にお話しします。
オンラインショップでトニーセイムを見つけたときの印象
私がトニーセイムを知ったのは、オンラインショッピングでいろいろな眼鏡を眺めていたときでした。
「なんだか特徴的なシェイプの眼鏡があるな」とふと目に留まったんです。クリックして詳細を見てみると、クラシックなのにどこか個性的でかっこいい。「これはどこのブランドだろう」と気になって調べてみたら、それがトニーセイムでした。
私自身はまだ所有していませんが、プラスチックフレームのカラーリングに特徴があるおしゃれなブランド、というイメージを持っています。
今回深掘りして変わった印象・発見したこと
今回この記事を書くために改めて調べてみると、トニーセイムがアジア人の骨格を前提に設計されたブランドだと分かりました。あの999.9(フォーナインズ)の創業者のひとり、三瓶哲男氏が手がけ、日本を中心にアジアで展開されているブランドだということも、今回初めて知りました。
さらに調べていくと、岩井俊二監督の映画『ラストレター』で福山雅治さんが演じた乙坂鏡史郎が着用していたモデル(TS-10732L)だったり、ファッション誌『UOMO』や『MEN’S EX』でも取り上げられていたりと、著名な場面で見かける機会が多いブランドだと知りました。
名前は知っていたけれど中身をよく知らなかったブランドが、実はこんなに注目されている存在だったんだと分かり、ちょっとワクワクした気持ちになりました。
まとめ──TonySame(トニーセイム)はこんなブランド
最後に、TonySame(トニーセイム)の魅力を振り返りましょう。
TonySameは、999.9(フォーナインズ)創業者・三瓶哲男氏が2010年に立ち上げた、日本と香港を拠点とするアイウェアブランドです。「共感」から「Connect」へと進化したコンセプトのもと、リガメント・CS・MCPという独自機構で掛け心地を追求しています。アジア人の骨格に合わせた設計と、鯖江の職人技術、香港の感性が融合した1本は、量販店では味わえない満足感を与えてくれます。
価格帯は2万円台から4万円前後と、本格派でありながら手が届く水準です。「良い眼鏡が欲しいけれど、選び方に迷っている」という方は、まず身近なブランドで自分の好みの基準を確かめてから、TonySameを検討してみるのもおすすめです。あなたの毎日に寄り添う、掛け心地の良い1本がきっと見つかります。
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