Alain Mikli(アランミクリ)の評判と特徴を徹底解説【2026年版】|眼鏡をアクセサリーに変えたパリの色彩 - 眼鏡サプリ

眼鏡の話をしていると、ふとした瞬間に名前が出てくるブランドがあります。アランミクリ(Alain Mikli)も、そのひとつではないでしょうか。

ただ、名前は知っているのに、実際どんなブランドなのかを説明しようとすると言葉に詰まりませんか。フランスのブランドらしい、色がきれい、少し個性的——そのあたりで止まってしまう方が多いと思います。この記事では、1978年のパリでの創業から、語り継がれる名作、BIOPIKと呼ばれる独自の積層技術、2026年の価格帯と日本での買い方までを順に整理します。あわせて、デザイナー本人がブランドに戻ってきたという近年の動きにも触れます。読み終わるころには、アランミクリを人に説明できる輪郭がつかめているはずです。

眼鏡を「顔に似合うかどうか」ではなく「好きかどうか」で選ぶ考え方については、眼鏡はデザインから選んでいいにも書いています。アランミクリは、まさにその発想でできているブランドです。


目次 Outline

「見るため、そして見られるため」——パリで眼鏡の定義が変わった日

結論からいえば、アランミクリは1978年にパリで生まれたアイウェアブランドです。そして掲げたコンセプトは、いまも変わっていません。

見るための、そして見られるためのメガネ

たった一行ですが、この言葉が眼鏡というものの位置づけを変えました。順を追って見ていきます。

23歳で会社を興した、アルメニア系フランス人

ブランドを立ち上げたのは、アラン・ミクリ氏です。本名をアラン・ミクリタリアン(Alain Miklitarian)といいます。ブランド名は、この姓を短く切り詰めたものです。

1955年4月1日、フランス南東部のローヌ=アルプ地方に生まれました。アルメニアにルーツを持つ家庭で、父はオーケストラの指揮者、母は仕立て屋だったと伝えられています。

彼はパリのリセ・フレネル(Lycée Fresnel)という光学系の専門学校で、眼鏡技術者としての教育を受けました。そして1978年、23歳のときにパリで「ミクリ・ディフュージョン(Mikli Diffusion)」を設立します。これがブランドの出発点です。

色使いについて、本人は興味深いことを語っています。あの独特な配色は、レバノンに暮らすアルメニア人の伝統的な色の組み合わせから来ているというのです。フランスのブランドでありながら、色の記憶は別の土地から持ってきている。ここがアランミクリの色が他と違って見える理由のひとつなのだと思います。

眼鏡を「矯正器具」から「顔のアクセサリー」へ

1970年代の眼鏡は、基本的に医療器具の延長線上にありました。見えるようにするための道具であって、選ぶ楽しみのあるものではなかったのです。

アラン・ミクリ氏がやったのは、その前提をひっくり返すことでした。眼鏡を顔の上に置くアクセサリーとして捉え直し、自らを「アイウェアデザイナー」と名乗ります。当時、そんな肩書きは存在しませんでした。

日本のメディアでは、あるフランス人ジャーナリストの言葉として「眼鏡には、アランミクリ以前とアランミクリ以後がある」というフレーズが紹介されています。誰の発言なのかまでは特定できませんでしたが、このフレーズが繰り返し引用されてきたこと自体が、業界に与えた影響の大きさを物語っているようにも感じます。

1980年代、モード界がアランミクリを見つけた

言葉だけでは、業界は変わりません。実際にアランミクリを押し上げたのは、ファッションの側からの要請でした。

1980年代から1990年代にかけて、彼はクロード・モンタナ、ジャン=ポール・ゴルチエ、イッセイミヤケ、ジル・サンダー、ダナ・キャランといったデザイナーのために、ショー用のアイウェアを手がけています。オートクチュールのランウェイに、彼が作った眼鏡が並んだのです。

1980年代の初めには、エルトン・ジョンが彼のデザインを愛用したことでも知られています。舞台の上で、眼鏡がはっきりと「見せるもの」として機能した瞬間でした。

初期の造形には、当時のパンクやニューウェーブの空気も入り込んでいます。大胆な色、常識から外れたシェイプ、レザーやメタルといった珍しい素材。眼鏡はここまでやっていいのだ、という提示そのものが仕事だったわけです。

「アランミクリ」という名前を知ったのは、YouTubeを見るよりずっと前のことです。10年以上前、メンズファッション誌の眼鏡特集で目にしました。当時はスクエアシェイプが全盛期で、アランミクリはとても勢いがあった記憶があります。眼鏡のことをよく知らなかった当時の私でも、直感で「おしゃれだな」と感じるほど、目を引くデザインが多かったのです。

ただ、眼鏡にお金をかけるほどの関心がまだなくて、おしゃれだけど予算に見合わない、と棚上げにしていました。今になって思うのは、もっと早くメガネ沼にはまっていれば、あのころのアランミクリも堪能できていただろう、ということです。もちろん今も選択肢のひとつであることには変わりありません。


語り継がれる名作——回るヒンジと、羽根のサングラス

アランミクリの歴史には、いくつか「これは外せない」というプロダクトがあります。順に見ていきましょう。

1996年、フィリップ・スタルクと作った「回る」ヒンジ

1996年、アラン・ミクリ氏はフランスの建築家・デザイナー、フィリップ・スタルク氏と組んで「Starck Eyes(スタルクアイズ)」を立ち上げました。

ここで生まれたのが、Biolink(バイオリンク)と呼ばれる特許取得のヒンジです。着想元は人間の体でした。肩と鎖骨の動きを参考にした球状の構造で、テンプル(つる)が360度、あらゆる方向に動きます。

なぜこれが画期的だったと思いますか。理由は、ネジを使わない構造だからです。眼鏡のトラブルで多いのは、ネジのゆるみと丁番まわりの破損です。そこを機構ごと作り替えてしまった。デザインの話だけではなく、道具としての設計の話なのです。

素材にはチタン、カーボンファイバー、アセテートが使われています。スタルクアイズは現在もラインとして続いています。

スラット(羽根)のサングラスが世界に広まるまで

もうひとつ、アランミクリの名前と結びつけて語られるのが、レンズの代わりに細い羽根を並べたサングラスです。いわゆるシャッターシェードと呼ばれる形をしています。

このスラット状のアイウェアという発想自体は、実は1950年代にさかのぼります。当時は「ヴェネシャンブラインド・シェード」と呼ばれていました。アランミクリはこの形を1980年代に自らのデザインとして手がけています。

そして2000年代後半、ある世界的な人気を持つアーティストのミュージックビデオ用にデザインされたことをきっかけに、この形は一気に世界へ広がりました。街でもファッション誌でも見かけるようになり、ひとつのアイコンになったのです。

もともとあった形を掘り起こし、自分の造形に翻訳し、時代の空気と結びつける。アランミクリの仕事の性格が、よく表れているエピソードだと思います。

色を独占していた時代——マツケリのアセテート

アランミクリの色が特別視される理由には、素材の話もあります。

イタリアのマツケリ(MAZZUCCHELLI)社は、1849年に創業したアセテート生地のメーカーです。眼鏡素材の分野で世界シェアの4割以上を占めるとされ、業界では広く知られた存在です。

日本の正規販売店の解説によれば、アランミクリはこのマツケリ社に特別なオーダーができる数少ないブランドとして知られていた、と紹介されています。既製の生地から選ぶのではなく、自分の色を作らせる。あの色の出方には、そういう背景があるわけです。

なお、日本との関わりでは、2011年に日本のファッションディレクターである祐真朋樹氏とのコラボレーションモデルが登場しています。日本人デザイナーとの協業としては、ブランドにとって早い時期の試みでした。

スタルクアイズのBiolinkヒンジは、正直なところ調べるまで知りませんでした。詳しく見てみると、人体の動きをそのまま取り込んだような設計でした。かけ心地にこだわる人には「これこそ求めていたもの」と感じられそうな機構です。

シャッターシェードのほうは、実は見たことがありました。よく見ているYouTubeチャンネル「TOKYO MEGANE JUNK」に、出演者が私物の眼鏡を紹介するコーナーがあります。そこで披露されていたのが、サングラスと言えるかも怪しい個性的な一本でした。それがアランミクリだと知って、さらに驚いた記憶があります。眼鏡の世界には、まだまだ知らない領域があると改めて感じました。


BIOPIKという積層技術——色に奥行きが生まれる仕組み

現在のアランミクリを語るうえで、いちばん技術的な話がここです。難しく聞こえますが、仕組み自体はシンプルです。

アセテートを何枚も貼り合わせる

BIOPIK(バイオピック)は、ブランド独自のアセテート加工技術です。

デザイナー本人がインタビューで語ったところによれば、5枚のアセテートを貼り合わせる手法だといいます。英語圏の販売店の解説では、複数のシートを「パズルのように」積層することで、通常のアセテートフレームでは出せない色の深さと透明感の重なりが生まれる、と説明されています。

平らな板の色ではなく、層と層のあいだに奥行きが生まれる。だから見る角度で表情が変わり、立体的に見えるのです。

素材そのものの基礎から知りたい方は、眼鏡フレームの素材の種類と選び方もあわせてどうぞ。アセテートがどんな素材なのかが分かると、この積層の意味がもっと具体的に見えてきます。

バイオ由来の素材と、テンプルに埋め込まれたチップ

現行モデルでは、環境への配慮も設計に組み込まれています。

海外の正規取扱店の製品説明によれば、フレームには約67%のバイオベース素材と約27%のリサイクル素材が使われているモデルがあります。石油由来の一般的なアセテートから、原料そのものを見直しているわけです。

もうひとつ面白いのが、テンプルの先端に埋め込まれたNFCマイクロチップです。スマートフォンをかざすと真正性が確認でき、ブランドのストーリーにアクセスできる仕組みだと説明されています。模倣品が出回りやすい価格帯のブランドにとって、これは現実的な備えといえます。

左右非対称のエンドピースという署名

もう少し細かい話をします。

現行コレクションでは、テンプルのエンドピース(フロントとテンプルの接続部分)が左右非対称に設計されています。これは装飾ではありません。テンプルをたたんだときにぴったり閉じるための設計だと説明されています。

幅の広いテンプルは、軽さを出すために精密に削り込まれています。見た目の主張と、掛けたときの軽さ。この両立をパーツ単位で解いていくのが、いまのアランミクリの作り方です。


デザイナー本人がブランドに戻ってきた——いま何が起きている?

ここからは、アランミクリを語るうえで欠かせない最新の動きです。アランミクリは近年、かなり大きな転換点を迎えています。

ブランドはいま、エシロールルックスオティカの傘下にある

まず、企業としての流れを整理します。

2012年11月、イタリアのルックスオティカがアランミクリ・インターナショナルの買収を発表しました。取引が完了したのは2013年1月です。買収額は約9,000万ユーロと報じられています。このとき、アランミクリのブランドとあわせて、スタルクアイズのライセンスもルックスオティカ側に移りました。

その後、ルックスオティカはフランスのレンズメーカーであるエシロールと経営統合し、現在はエシロールルックスオティカとなっています。アランミクリは、その傘下のブランドとして展開されています。

日本国内については、ブランドの運営会社だったミクリジャポンが2018年にルックスオティカジャパン(当時のミラリジャパン)へ吸収合併されました。同社は2019年1月に現在の社名へ変わっています。

「もう関わることはないと思っていた」——本人の復帰

ここからが本題です。

ブランドを売却した後、アラン・ミクリ氏は現場を離れていました。ところが近年、エシロールルックスオティカ側からの要請を受けて、デザイナーとしてブランドに戻っています。

2025年7月に公開されたWWD JAPANのインタビューで、本人はこう語っています。会社を売却したあと、もう関わることはないと思っていた。けれどエシロールルックスオティカから「ブランドに戻ってほしい」と声がかかった——と。

自分の名前を冠したブランドを手放した人が、10年以上たってから同じブランドに戻る。あまり聞かない話だと思いませんか。

若いチームのメンターという立ち位置

ただし、彼が全部を作り直しているわけではありません。

同じインタビューによれば、現在のデザインチームは4人の若いメンバーで構成されています。アラン・ミクリ氏自身の役割は、メンターとして経験を共有し、彼らの成長を支えることだと語られています。

創業者が戻ってきて全権を握るのではなく、次の世代に渡すために戻ってきた。この立ち位置の取り方は、ブランドのこれからを考えるうえで大事なポイントだと感じます。

2025年5月、大阪にデザイナー本人が来た

日本の読者にとって、もう少し身近な出来事もありました。

2025年5月25日から6月1日にかけて、大阪のグラスファクトリー ヒルトン梅田店で、2025年春夏コレクションのトランクショーが開催されました。日本国内でいち早く新作を見られる機会として案内されたイベントです。

さらに5月24日には、アラン・ミクリ氏本人が同店に来店する特別イベントも行われています。同店では2024年のゴールデンウィーク期間にもトランクショーが開催されており、日本市場との距離が近いことがうかがえます。

開発中と語られた「日本限定コレクション」

先ほどのインタビューには、日本の読者が気になる発言も含まれていました。

本人は「今、来年発売予定の日本限定コレクションを開発中」と語っています。そのうえで、現地の消費者に本当に響く製品を作るには、その土地の機微を捉えることが欠かせないとも述べています。

ただし、この日本限定コレクションが実際に発売されたかどうかは、2026年8月時点で確認できませんでした。あくまで「インタビューで語られた計画」として受け止めておくのがよさそうです。もし実現すれば、日本のファンにとってはかなり大きなニュースになるはずです。


2026年のアランミクリは、どんな形をしている?

「昔のブランド」ではないことは分かった。では、いま並んでいるのはどんな眼鏡なのでしょうか。

2026年春夏コレクションのテーマ

公式サイトによれば、2026年春夏コレクションは「Alain Mikli Red」と名づけられています。素材を探求し、色を高め、機能を洗練させる——ブランドの哲学をそのまま体現するコレクションだと説明されています。

限定カラーとして挙げられているのは、black rhombus pointillè、red blue cyberpunk、rouge nacré といった名前です。赤と真珠のような光沢を組み合わせた「rouge nacré」は、コレクション名とも響き合っています。

丸みのあるシェイプの上部に、波打つようなブローラインを乗せたモデルも紹介されています。定番の形に一手加えて別の表情にする。この作り方は、創業当時から変わっていません。

スクエアだけではない、現行のシルエット

私は正直なところ、アランミクリにはシャープなスクエアのイメージを持っていました。実物を見た印象でも、四角いシルエットが記憶に残っています。もともとスクエアが好きなので、余計にそこへ目が行っていたのかもしれません。

そこで現行モデルを一通り見てみたのですが、実際にはもう少し幅がありました。海外の正規取扱店の分類を見ると、スクエア、レクタングル(長方形)、ラウンド、キャットアイ、アビエーターが並んでいます。

日本の正規販売店が2026年に紹介している新作にも、変形のヘキサゴン(六角形)シェイプや、左右非対称のフェミニンなモデルが含まれていました。つまり「スクエアが多い」というのは、あくまで私の受けた印象です。実際は、幾何学的な形からやわらかい形まで、選択肢はかなり広いと考えたほうがよさそうです。

フレームの形そのものについて整理したい方は、眼鏡フレームの形を知ると世界が広がるもあわせて読んでみてください。形の名前と特徴が分かると、店頭での見え方が変わってきます。


いくらで、どこで買える?——価格と日本での入手ルート

ここからは現実的な話です。私も気になっていた部分でした。

光学フレームは5万円台〜8万円台が中心

日本の正規販売店のオンラインストアで、2026年8月13日時点の税込表示価格を確認しました。

確認先確認できた価格帯(税込)
グラスメイツ(在庫あり商品)47,080円〜170,940円
メガネの和光55,660円〜80,190円
ポンメガネ39,600円〜53,900円

在庫のある現行モデルを見るかぎり、光学フレーム(度付きにできるメガネ)の中心帯はおおむね5万円台から8万円台でした。10万円を超えるものもありますが、これは特別な素材や仕様のモデルです。逆に4万円台のものは、型番が古いモデルや在庫限りの商品が中心でした。

ここで注意していただきたいことがあります。ネット上には4万円台を上限とするような価格情報も残っていますが、それは完売・生産終了になった旧モデルの表示である場合があります。実際、私が確認した販売店のうち1店は、掲載商品のほぼすべてが完売または生産終了の表示でした。古い価格を現行価格と思い込まないよう、購入前に最新の表示をご確認いただくと安心です。

なお、ここに挙げた金額はフレーム単体の価格です。度付きレンズを入れれば、その分が加算されます。

百貨店の中に、ブランドの売り場がある

私がアランミクリの実物を見たのは、百貨店の中でした。眼鏡売り場の一角ではなく、ブランド名を掲げた独立した場所だったのを覚えています。あれは何だったのだろう、と気になって調べてみました。

結論からいうと、記憶は間違っていませんでした。公式サイトの店舗案内には、日本のブティックとして東京・南青山と、名古屋のジェイアール名古屋タカシマヤの2か所が掲載されています。百貨店の中に、ブランドの名前を冠したブティックがあるのです。

南青山の店舗は「アランミクリ ブティック南青山」といい、2021年10月にリニューアルオープンしています。ブランドの旗艦店にあたる場所です。

そのほか、ファッションプレスの店舗一覧では、2026年8月時点で全国26か所の取り扱いが確認できます。このうち「アラン ミクリ」の名前を冠した売り場は、大丸札幌、松坂屋上野、松屋銀座、伊勢丹新宿メンズ館、伊勢丹新宿、新宿タカシマヤ、ジェイアール名古屋タカシマヤ、阪急メンズ大阪と、百貨店に広がっています。残りは眼鏡専門店やセレクトショップでの取り扱いです。

ちなみに、日本はこのブランドにとって重要な市場です。2015年時点の情報によると、日本はフランスに次ぐ第2の売上市場であり、取扱店舗数では世界一だったとされています。11年前の数字なので現在も同じとは限りませんが、日本進出が1989年の東京店(元麻布。1995年に南青山へ移転)にさかのぼることを考えると、関係の長さは納得できます。

買う前に確認しておきたい3つのこと

高価な買い物になるので、先に確認しておくと安心な点を挙げます。

  1. 度付きレンズへの対応範囲:カーブの強いモデルや特殊なシェイプでは、対応できる度数に制限が出ることがあります
  2. フィッティングをしてもらえるか:海外ブランドのフレームは鼻まわりの設計が日本人向けと異なる場合があります。調整してくれる店を選びたいところです
  3. 修理・パーツ交換の窓口:積層アセテートや特殊なヒンジを使ったモデルは、修理の可否を先に聞いておくと安心です

写真で見た印象と、自分の顔に載せたときの印象は、想像以上に違います。できれば一度、実物を掛けてみることをおすすめします。


色で遊びたい人へ、静けさを求める人へ

ここまで読んで、「自分に合うだろうか」と考えている方もいると思います。正直なところを整理します。

アランミクリが刺さりやすい場面

  • 眼鏡の色そのものを楽しみたい人。積層アセテートの奥行きは、写真では伝わりにくい魅力です
  • 定番の形に飽きてきた人。同じスクエアでも、ミクリの手が入ると輪郭が違って見えます
  • 「見られること」を前提に眼鏡を選びたい人。ブランドのコンセプトがまさにそこにあります
  • デザインの背景ごと楽しみたい人。1978年から積み上げてきた文脈があります
  • 掛け心地の設計にも関心がある人。スタルクアイズのヒンジのように、機構から考えるブランドです

私自身、もともとシャープなスクエアシェイプが好きなので、このブランドは相性が良さそうだと感じています。実物を見たときにも、四角いシルエットの潔さに目が留まりました。

同じくパリ発で、ミニマルな方向に振り切ったブランドと比べてみるのも面白いです。AHLEM(アーレム)の評判と特徴を読むと、同じフランスでも表現の向きがまったく違うことが分かります。

少し立ち止まったほうがいい場面

一方で、正直に書いておきたいこともあります。

眼鏡に目立ってほしくない方には、向かない場面があります。 色や形で存在感を出すのがこのブランドの持ち味です。控えめであることを優先したいなら、他に適した選択肢があります。

職場の雰囲気によっては、選ぶモデルを絞る必要があります。 ただしこれはブランド全体の話ではありません。落ち着いた色と定番シェイプを選べば、十分に仕事でも使えます。

価格のハードルもあります。 中心帯が5万円台から8万円台、そこにレンズ代が乗ります。最初の一本として気軽に選べる金額ではありません。

同じ価格帯の海外ブランドと迷っている方は、Oliver Peoples(オリバーピープルズ)ブランド紹介もあわせて読んでみてください。クラシックな方向で上質さを積み上げるブランドとの違いが、はっきり見えてきます。

もし今のラインナップから1本選ぶとしたら——考えてみると、答えはすぐ出ました。幾何学的なキャットアイに近い、角度の効いたシャープなシルエットのモデルです。色は黒みがかったマーブル模様のもの。画面で見た瞬間、「試着してみたい」と直感が働きました。

度数によってレンズがどのくらい厚くなるか、実物で確かめてみる必要はあります。難しければ諦めるつもりですが、それでも一度手に取ってみたいと思わせる引力のあるデザインです。

そして、順番の工夫もひとつの方法です。まずは手頃な価格帯で「自分に似合う大きさと形」を確かめてみてください。ZoffやJINSなら、スクエアやボストンといった定番シェイプを気軽に試せます。フレームの横幅やレンズの縦幅がどのくらいなら自分の顔に合うのか。それが分かっていれば、アランミクリを選ぶときの精度が一気に上がります。6万円の買い物で迷わないための、いちばん確実な準備です。

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このフレームを長く使うために

手に入れた一本は、できるだけ長く気持ちよく使いたいですよね。積層アセテートのフレームは、色の層が魅力である分、表面の曇りやくすみが目立ちやすい面があります。ここでは私も使っているケアアイテムを紹介します。

フレームの艶を守る(セルロイド・アセテート素材向け)

セルロイドやアセテートのフレームは、使い続けると表面が白くくすんでくることがあります。眼鏡専門ブランドDJUALのポリッシングクリームを使えば、自宅で新品のような艶を取り戻せます。チタン・メタルフレームには不要ですが、アセテートやセルロイドを使用したモデルにお使いください。

ご注意: マット加工(艶消し加工)を施したフレームには使用できません。また、レンズ部分には絶対に使用しないでください。ご使用前にフレームの仕上げをご確認ください。

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レンズを毎日清潔に

世界的光学ブランドZEISSの個包装ワイプは、全世界で年間10億個販売されている定番品。外出先でもすぐに使えて、コーティングレンズを傷めません。

ご注意: コンタクトレンズには使用できません。レンズにゴミや砂粒が付着した状態で拭くと傷がつく恐れがあります。使用前にレンズの表面をご確認のうえ、開封後はすぐにご使用ください。

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仕上げは天然セーム革のクロスで

春日のキョンセームは、天然素材ならではのやさしい拭き心地が特徴。細かい繊維が油分・指紋をしっかり絡め取り、拭き傷をつけません。

ご注意: Amazon等では中国製の類似品が流通しています。正規品の春日(KASUGA)製品はパッケージおよびクロス表面(光沢面)に「春日」または「KASUGA」のロゴが入っています。ご購入の際は販売元が「春日」であることをご確認ください。

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まとめ——アランミクリという「発明」

アランミクリは、1978年にパリで生まれたアイウェアブランドです。創業者はアラン・ミクリタリアン氏。アルメニアにルーツを持つフランス人で、23歳のときに自分の会社を立ち上げました。掲げたのは「見るための、そして見られるためのメガネ」という一行です。

眼鏡を矯正器具から顔のアクセサリーへ。この転換を、彼は言葉と製品の両方で押し進めました。1980年代にはクロード・モンタナやジャン=ポール・ゴルチエ、イッセイミヤケらのショー用アイウェアを手がけ、エルトン・ジョンが愛用したことでも知られています。1996年にはフィリップ・スタルク氏と組み、鎖骨の動きに着想を得たネジなしヒンジ「Biolink」を生み出しました。

現在はエシロールルックスオティカの傘下にあり、5枚のアセテートを貼り合わせるBIOPIKという技術を軸にコレクションが作られています。そして近年、アラン・ミクリ氏本人がデザイナーとしてブランドに復帰しました。若い4人のチームのメンターという立場で、次の世代へバトンを渡そうとしています。

2026年8月時点の価格は、光学フレームでおおむね5万円台から8万円台(税込)が中心でした。日本での購入は、南青山のブティック、百貨店内のブランド売り場、全国の正規販売店が主なルートになります。日本はこのブランドにとって長い付き合いのある市場で、日本限定コレクションの開発もインタビューで語られています。

いま眼鏡を色や形で選べるのは、当たり前のことではありません。それを当たり前にした人がいて、そのブランドがまだ現役で、しかも本人が戻ってきている。アランミクリを一本手に取るというのは、たぶんそういう時間ごと手に取るということなのだと思います。

まずは自分に似合う形を確かめたい、という方は、ZoffやJINSで定番シェイプに触れてみるところから始めてみてください。「好き」の輪郭が見えてくると、次の一本選びがもっと楽しくなります。

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めがね沼ぐらし

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